森見登美彦「夜は短し歩けよ乙女」☆

夜は短し歩けよ乙女

第20回(2007年)の山本周五郎賞受賞作です。

読んだ印象は何となくフワフワしているような風変わりな連作ファンタジィで、読んでいて次にどうなるのか展開が読めない不思議な小説です。


一体いつの時代の話やらというような旧制高校に通っているようなバンカラで純朴な感じの青年が、後輩の大酒飲みの女学生に抱く恋心と、二人のすれ違いを微妙なタッチで描いています。

文体が少し古風ですが、本当に古風と言うよりも古風な雰囲気を出しているといった方が合っているようです。

女学生は乙女チックな心持ちの女性で、彼女もいつも出会う先輩に何らかの仄かな気持ちを持っているらしいけど、でもそれよりもお酒のあるところ彼女アリみたいな感じで、いつも幻想的で不思議な体験をしている。

恋愛を描いているといえば言えますけど、何か全体的にガッツイていない草食系のほのぼのとした空気が漂う小説で、こういう作品はありそうで中々見当たらないのではないでしょうか。

管理人には正直言って微妙に分かりづらいというか、こういうロジックがハッキリしない小説はピンと来ない感じですけど、案外と日本的でフワフワした雰囲気の小説が好きな方は多いようで、山本周五郎賞受賞とともに本屋大賞も2位に選ばれています。



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