北原亞以子「おひで - 慶次郎縁側日記」シリーズ ☆☆

おひで-慶次郎縁側日記

慶次郎縁側日記シリーズ第3作目。「ぬれぎぬ」「からっぽ」「おひで 一 油照り」「おひで 二 佐七の恋」「秋寂びて」「豊国の息子」「風のいたずら」「騙し騙され 一 空騒ぎ」「騙し騙され 二 恵方詣り」「不惑」「騙し騙され 三 女心」「あと一歩」を収録しています。


江戸時代のゆったりとした情緒ある風情と、人が生きていく上でどうしても直面する現代にも通じる課題を描いた作品が多いのですが、どの作品も変に人情劇になりきらず、かと言って無情でもない話の流れがどことなく心地良い人情時代劇シリーズです。

北原作品に共通しているのは、「孤独」とか「寂しさ」に人はどのように向き合うのか、という事なんだろうと思います。

若くて元気なうちはまだ良いけど、年をとり身寄りも無く、社会保障すらない江戸時代の市井の人々の生き方がどんな感じだったのか、現代に通じるテーマは管理人も興味深いです。

結局のところ、人は一人で生まれ一人で死んでいきますけど、心を支えてくれる何かが欲しいと思うのではないでしょうか。

それが一般庶民にとっては家族だったりするわけですけど、そういうものを持てなかったり失くしてしまった人々の寂しさを描くと、北原作品は本当に秀悦です。


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