クリストファー・プリースト「奇術師」☆☆

奇術師

双子の兄弟がいるような不思議な感覚をいつも感じている新聞記者アンドルー。

ある日アンドルー宛に送られてきた1冊の本は、アルフレッド・ボーデンという名前の昔の奇術師の日記や回想録を、奇術を愛好する好事家が出版したものだった。

アンドルーは幼い頃に現在の両親の養子となったが、旧姓はボーデンという名だった。

どうもこのアルフレッド・ボーデンの曾孫にあたるらしい。

本の贈り主キャサリン・エンジャは貴族の末裔の女性だったが、実は彼女の曽祖父で奇術界の大立者だったルパート・エンジャとアルフレッド・ボーデンとは深い確執を持つ間柄だった。


そんな出だしから始まる、かつて稀代の才能を誇った二人の奇術師の意地の張り合いから起きた出来事の謎を、二人の子孫が協力して解き明かしていくという物語です。

ボーデンやエンジャの日記、そしてキャサリンの回想などを交えて、物語は進められて行きます。

世界幻想文学賞受賞作ですが、SFやファンタジィの要素はあまり感じられない展開が淡々と進んで行きますので、奇抜な物語を期待していると肩透かしを喰う感じです。

それが大きく変化し始めるのは、物語の2/3を過ぎたあたりからです。

ただ管理人には今ひとつ分かりづらい印象で、後日この作品を原作にした映画「プレステージ」を見て納得したところがありました。


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