エリック・フランク・ラッセル「金星(ビーナス)の尖兵」☆☆☆

ハインラインの「人形使い」、フィニィの「盗まれた街」、F・ブラウンの「73光年の妖怪」などと同じ、地球外の知的生物が地球にやって来て、人間に乗り移って操るという地球侵略テーマSFです。

1965年に邦訳された古い作品ですけど、管理人は大好きなSF小説で、このテーマの作品の中でも一二を争う名作ではなかろうかと思っています。(同種の作品の中で最初に読んだ作品ということもあると思いますが)


舞台はアメリカ、主人公ハーバーは私立探偵。

しかしハーバーは只者ではない。

実はテレパシー能力の持ち主で、誰にも知られぬように注意しているものの、犯罪者のつぶやきが意図せずに頭のなかに流れ込むため、捜査に協力した地元警察からは不思議な名探偵だと思われている。

そんな彼が警官殺しの現場にぶつかる。

瀕死の警官の心から読み取った犯人像を辿って追跡したハーバーは、犯人らしき人物の心に探りを入れる。

そして有無を言わさず直ぐにその犯人を射殺したハーパーは、その場を立ち去った。

超能力を駆使して接触したFBI職員を経由して政府高官にコンタクトしたハーバーは、犯人を射殺した理由を尋ねられ、悪態をつかれたからだと答える。

犯人は「この、地球人の畜生め!」と言ったと・・・。

そして高官との会話で、政府が極秘裏に金星探査計画を実行したこと、金星で何かが起こったこと、計画に参加した宇宙飛行士3名の所在が分からなくなった事を知る。

金星の生物が宇宙飛行士に憑依して地球に舞い戻り、仲間を増やしていることを感知したハーバーは、軍や治安機関と協力して金星からの侵略に対抗しようとするが・・・。


まぁ、こんな話です。

とてもストレートに展開する冒険SFです。

増殖するアメーバー状の金星からの侵略者が手強くて、それに対抗するハーバーがなかなかの知恵者で、ついつい夢中になってしまいます。

隠れた傑作SFという感じですね。


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