ジョン・ダニング「死の蔵書」☆☆☆

死の蔵書

二束三文で古書を買い集め、その中から値打ちのある本を探し出して転売する古本掘出し屋のボビーが何者かに殺された。

事件を担当する刑事クリフは古書収集が趣味で、本当言えば警察を辞めて本屋になりたいと思っている男。そんな古書業界の事情にも詳しいクリフが捜査を進めるうちに、どうやらボビーはついに一山当てたのではないかと思えてくる。

ボビーが買い集めた古書の中に、非常に高価な稀覯本があったようで、ボビーは知人に掘出し屋を廃業する積りだと話していたと言う。

だとしたら、犯人は古書に詳しい人物なのか・・・。

クリフはボビーの残した物や彼の周辺を調べるが、そのうちにクリフ自身が警察を辞める羽目になり・・・。


1993年のネロ・ウルフ賞を受賞した、アメリカの古書業界の内輪話が新鮮で興味深いミステリィです。

正直言えばミステリィとしては驚くほどのトリックがあるわけでもないし、極上という感じも受けませんが、何よりも作品の舞台設定と登場人物の描写が素晴らしい。

本の話題、古書の話題、稀覯本の話題、古書業界や収集家についてのうんちくが読んでいてすごく楽しくて、思わず古本屋を開業したくなっちゃいますね。

管理人の好みとしては、もう少しロマンチックな雰囲気がある方が好きですけど、本好きが読むとたまらない作品だと思います。


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