佐々木譲「制服捜査」☆☆☆

制服捜査

北海道警が相次ぐ不祥事に懲りて警察官の大移動を行う。

同じ警察署内に何年もいる警察官は無理矢理でも異動させられ、そのあおりで札幌の強行犯係の刑事だった川久保巡査部長は田舎町の駐在所に単身勤務となった。

平和な田舎町に只一人の駐在さんのはずだったが、一見平穏のように見えるものの田舎特有の人間関係や社会の中には、表に出て来ないそれなりの事件がある。

慣れない環境、刑事畑一筋だった警察官は駐在所という捜査の前線に立つことの出来ない職制の中で、所轄警察の無能さにあきれながらも自分の職務を勤め上げていく。


本来の自分の仕事とは全く無縁の職場に左遷同様に放り込まれた警察官が、やる気をなくしながらも事件に巻き込まれて、その事件を解決に導くような話かと思って読みましたが、そういう後ろ向きの話では有りませんでした。

自分と無関係のところで決められた理不尽とも言える転勤にも不満を漏らさず、自分の新しい職制を全うしようとする筋の通った警察官が主人公でした。

こういう風に現場で一所懸命に働く人がいるからこそ、社会は上手く廻っていくんですよね。

内容的にも実に良く出来た警察小説で面白かったです。


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