クレスリー・コール「時の扉を開いて」☆☆☆

時の扉を開いて

エストニアの貴族セバスチャン・ロスは瀕死の状態となった300年前に、兄二人に無理矢理不死身のヴァンパイアにされた。

兄たちを呪いながら古城に引きこもり、死を願いながらも生き永らえてきたセバスチャンの前に、ヴァンパイア狩りを生きがいとする戦乙女ヴァルキリーのケイドリンが現れ、彼を殺そうとする。

しかし全く抵抗をしないセバスチャンに違和感を覚えたケイドリンは、殺害を思いとどまった。

一方で美しい戦士ケイドリンを見たセバスチャンは、全身に熱いものが流れ、目の前にいる女性こそヴァンパイアが何よりも強く求める運命の花嫁だと気がつく。

セバスチャンの様子を見てケイドリンもまた強い欲望を感じるのだが、かつて宿敵ヴァンパイアに二人の妹を殺されたことをきっかけに全ての感情を失ったケイドリンは、素直な気持ちでセバスチャンに向きあうことが出来ない。

絶望の淵からケイドリンという生きがいを発見したセバスチャンと、セバスチャンと出会うことによりなくしていた感情が戻ってきたケイドリン。

時はあたかも、250年に1度開催される不死種族ローアたちの宝探しゲーム大会「タリスマンズ・ハイ」が開催される時期で、今大会の優勝商品が時の扉を開く「トラーネの鍵」だと知らされたケイドリンは、この鍵を使って妹たちが殺される前に戻ればと考えるが、そんなケイドリンの前にセバスチャンも競技者として参戦してくる。


満月の夜に」に続くスーパーナチュラルな種族ローアの恋人たちを描いたロマンス小説です。

前作はまがりなりにも敵対する種族同士の暗闘があったりして、アクション・ファンタジイの要素が強い作品でしたが、この小説は不死者同士のロマンスが主体でソフト・ポルノっぽい雰囲気の作品です。

運命の二人なのでお互いに一目惚れなのですが、その事を認められないケイドリンと何としてでも彼女の心を射止めたい案外と純情なセバスチャンの関係が徐々に変化していくのが面白い。

感情を失っていたケイドリンの気持ちがセバスチャンに引き寄せられていく過程がうまく描かれていると思います。


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