栗本薫「ぼくらの時代」☆☆

ぼくらの時代

ロック・バンド「ポーの一族」でキーボードとボーカルを担当する22歳の大学生・栗本薫は、バイト先のテレビ局で視聴者参加の歌番組の収録中に、雛壇で見学していた女子高生が何者かに刺殺されるという事件に遭遇した。

これを契機にして発生する連続殺人事件。

薫は「ポーの一族」の仲間、信とヤスヒコと協力して、三人で難事件の解決に挑むのだが・・・。


第24回(1978年)の江戸川乱歩賞を受賞した青春ミステリィです。

江戸川乱歩賞にハズレ無し、そんな感覚で居た管理人は、とても期待してこの作品を読んだのです。

とても残念でした。

いや、それなりによく書けていたとは思いましたが、期待が大きすぎたのでしょうね、ホント残念でした。

乱歩賞受賞の選考理由に、若々しい文体云々という風にありましたが、若々しいというよりも、舌足らずで意味不明の文章という印象の方が強かった思います。

読んだときはまだ20代で、それなりの感性を持っていたと思うのですが、まぁ管理人は保守的な人ですからね。

それにミステリィ小説にディクスン・カーやブラウン神父の名前が登場しても、あまり違和感を感じませんが、ウルフガイや萩尾望都の名前が出ると分からない人には分からないんじゃないかとも思いましたね。

ただ、物語の組み方はよく出来ていたと思います。

密室殺人事件をさりげなく出してくるあたりは、全体の雰囲気がもっと軽目だっただけに、推理小説っぽくて良かった。

でも全体的には今ひとつかなぁ。動機とか結末とかもフワッとしているしなぁ。

1970年代の青春ミステリィ小説ということは、今管理人が読めば、また少し違った感想を抱くのかも知れませんけどね。


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