湊かなえ「告白」☆☆

告白

市立S中学校1年B組の担任・森口悠子は、終業式のHRで自分が教師を辞めることを生徒たちに告げた。

生徒たちはシングルマザー森口の一人娘で4歳の幼児・愛美が、数ヶ月前にS中学校のプールで溺死した事件の事は知っていたし、その件が原因だろうと考えていたが、森口が語り始めた話は意外な話で、彼女は事故死と判断された娘は、実はこのクラスの2人の生徒に殺されたのだと語る。

森口は警察に告発するつもりはないと言うものの、二人の犯人をAとBと呼び、二人がどのような生徒で、どのようにして犯行を行ったか語っていく。

クラスメートたちはAが誰で、Bが誰だか分かって、その話を聞いているのだが・・・。


「聖職者」「殉教者」「慈愛者」「求道者」「信奉者」「伝道者」の6章によって構成されている、2009年の本屋大賞受賞のサスペンス・ミステリィです。

各章は最初の森口悠子の告発から始まり、クラス委員長、犯人の家族、犯人B、犯人A、そして最後に森口悠子と、それぞれ別の人間の一人称で語られ、幼児が死んだ事件とそこから派生する様々な出来事が色々な語り口でえぐり出されて行きます。

これはなかなか凄い物語です。

語り口は淡々とした印象で、読みやすい文章ですけど、書かれている内容は重く、作品の捉え方が一筋縄ではいかない感じがします。

更に言えば、登場人物の殆どが心の中に闇を抱えていて、ひょっとしたらその闇は人間誰もが持っているような、条件が違えば自分も同じ様な事をしでかすのではないかと思わせるような闇だったりします。(実際にはしないと思うけど・・・)

暗く怖い物語だと思いますが、しかし管理人の読後感がそれほど悪くないのは何故なんだろう。

管理人は登場人物の誰にも共感出来ませんでしたが、一度は読む価値のある作品だと思いました。お勧めします。


このページの先頭へ