重松清「定年ゴジラ」☆☆☆

定年ゴジラ

題名から想像する通り、仕事一筋バリバリの企業戦士として頑張ってきたサラリーマンが定年となってから起こる出来事を描いた連作短編集です。

定年後の生活なんて管理人には他人事でしたが、今ではもうあと僅かで同じ境遇だよという気持ちが強くなってきました。


主人公の山崎さんは元銀行員で、開発後30年たったニュータウンに奥さんと二人で暮しています。

別に役員になったわけでもないごく普通のサラリーマン。その山崎さんが運動不足を解消しようと始めた散歩で、同じような境遇の仲間と知り合い、限界集落化してきたニュータウンに住む人たちの日常で起こる出来事をペーソスを交えながら描いています。

40年も自分と家族のために懸命に働いてきて迎えた新しい人生。

平穏な日々を迎えるはずだったのに、どうした訳か思いもよらぬ問題を抱えてしまう人たち。

重松作品は共感を呼ぶ話の進め方と、ハッピーエンドではなくとも前向きな姿勢があって、人間を見る目が暖かくて管理人は好きですが、この作品も面白かったです。


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