恒川光太郎「金色機械」☆☆☆

金色機械

江戸時代のとある小藩の城下町にある遊郭に、女郎志願だという女・遥香がやって来た。

その遊郭の主人・熊悟朗は不思議な心眼の持ち主で、他人が抱く殺意が黒い霧のように見えてしまう。

女郎志願と言いながら、この女は何かを隠している。

そんな熊悟朗に自分がここに来たわけを語り始める遥香。数奇な運命に翻弄される人間たちの物語がここに始まる。


鬼御殿と呼ばれる悪の巣窟に入り込んだ少年時代の熊悟朗、鬼御殿の男たちに拐かされた少女・紅葉、人を殺める能力を持つ女・遥香、鬼御殿で神と崇められる月から来たという不思議な存在・金色様などを中心にして、戦国時代から江戸中期に至るまでを舞台に、善と悪、生と死について描かれた一大エンターティメント小説です。

主人公らしき人物は複数人いますが、それぞれが微妙に関連して伝奇的な物語が展開されていきます。

何やら言葉で表すのが難しい不思議な雰囲気と魅力を漂わせている、第67回日本推理作家協会賞受賞の時代SF小説です。


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