ミッチ・アルボム「天国の五人」☆☆☆

天国の五人

人は死んだ時に天国で自分の人生に関係した5人の人物に会い、自らの人生の意味を知るという。

83歳で死んだ男エディは、地方の遊園地のメンテナンスとして、体の痛みに耐えながらも働き続けた。

人生に希望を抱いていた若かりし頃に兵士として戦場に赴き、帰ってからは生きていく希望を失ってしまったエディ。

エディは最愛の妻マーガリートに先立たれ、子供もいない。

この世に残したものは何もない。

自らの人生はつまらない人生だったと思っている。

しかし本当につまらない人生だったのか?


この小説の作者は、つまらない人生などないと主張しています。

むかしベトナム帰りの元兵士が「人生は生きるに値しない」と言って自殺したと言う話を聞いた事が有ります。

しかしどんな人生でも生きていく価値はあるのではないでしょうか。

両親から子供へ受け渡されるもの、本人も気がついていない見知らぬ人々との出会いからもたらされる何か、そういったものにより人は人と繋がりをもっています。

そういう繋がりの積み重ねで全ての人々の人生が織られていく。

「人生には終わりがある。愛に終わりはないわ」というエディの妻マーガリートの言葉が、そうした人々の繋がりを表しているのでしょう。

淡々とした語り口で無理やり感動させようとしていない分、かえって味わい深い素敵な作品になっていると思います。


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