銀林みのる「鉄塔武蔵野線」☆
第6回日本ファンタジィノベル大賞の受賞作ですが、読み終えた時にこの作品は果たしてファンタジィ・ノベルと呼べるのか?と思いました。
まぁ日本ファンタジィノベル大賞の受賞作というのは、どこか奇を衒うようなところが有るように思いますので、何か新しい雰囲気の作品という意味では合っているのかもしれません。
管理人のように単純なエンターティメントを読みたいという向きには、今ひとつ合わないマニアックな前衛的な作品が選ばれているような印象です。
少なくとも管理人にとっては退屈に感じられました。
面白い本を読んでいる時の「早くこの続きを読みたい」といった興奮も、「この物語の中にずっと浸っていたい。読み終えたくない」というようなものも感じませんでした。
ただ似たような鉄塔の話が延々と続きます。
主人公の少年たちの会話や冒険に、子供の頃には自分もこんな事思ったかなと、少し懐かしい気分になる時もありましたけど、それも長続きせず、ともかく風変わりで奇妙な小説だったなという印象です。
ただ不思議なことに、地味な作品の割りには印象が強く残って、読み終えた直後には通勤電車の窓から見た鉄塔が妙に気になりました。
それまで気にも留めなかったのに、あれが男型であれが女型かな?なんて思って眺めてしまいました。
小説は面白かったとは思わなかったものの、印象深い作品ではありました。