柴田錬三郎「眠狂四郎無頼控」☆☆☆

眠狂四郎無頼控

週刊新潮に連載され人気を集め、ニヒルな剣豪の代名詞になった眠狂四郎シリーズの最初の作品です。

管理人が時代小説にのめり込んでいくのは、中学の頃にこの「眠狂四郎無頼控」を読んでからです。

ともかく暗い話でしたねぇ・・・。

転びバテレンの西洋人と彼に犯された身分の高い武家娘の混血として生まれ育ち、高い教養と人並み外れた剣の技量を持ちながら、世を拗ねて長屋住まいのニヒルな二枚目剣士。

心の中に秘めた熱い気持ちは表に出さず、無敵の剣法「円月殺法」でバッタバッタと敵を斬り捨てていく。

虚無なんて言葉が高度成長期の日本の中で、どことなく前を向き続けざるを得ないサラリーマンたちの心を撃ったのでしょうね。そんな時代が産んだ無情のアウトローでした。

この作品は、そんな狂四郎が故あって大奥からさらった奥女中・美保代との愛と、敵役の豪商備前屋や狂四郎を狙う公儀隠密、更には狂四郎に惹かれていく様々な女たちが入り乱れて、幕府内での権力争いなどを交えながら展開していきます。

この作品が発表される前までは、虚無的な剣豪ヒーローと言えば大菩薩峠の机竜之助だったようですが、眠狂四郎の登場でニヒルと言えば眠狂四郎となってしまいました。

映画化され市川雷蔵主演で大ヒットして、TVでは平幹二朗や田村正和が眠狂四郎を演じています。

何か格好良いんですよね。

     

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