スーザン・キャロル「月光の騎士の花嫁」☆☆

月光の騎士の花嫁

英国コーンウォール地方セント・レジャー城の後継者ランスロット(ランス)は、夏至の前夜祭に中世騎士の衣装で出かけ、大いに飲んで騒いで楽しんだ帰り道に何者かに襲われ、先祖伝来の秘剣を奪われてしまう。

村人がセント・レジャーの人間を襲うはずもない。

これは余所者の仕業だと考えたランスは、宿屋ドラゴン亭の宿泊客が怪しいとドラゴン亭に忍び込むことにする。

実はセント・レジャーの血を引く者には、それぞれ不思議な能力が備わっていて、ランスの能力は幽体離脱をする能力だった。

ランスはこの力を使って幽体となりドラゴン亭に入り込むが、その姿をドラゴン亭に宿泊する若き未亡人ロザリンドに目撃されてしまった。

アーサー王の伝説に魅せられているロザリンドは、男らしく逞しい姿でありながら憂いを帯びた眼差しをしたランスを円卓の騎士ランスロット卿の幽霊だと誤解し、ランスも自分が幽体離脱しているとは言えず、ランスロット卿のふりをしてロザリンドと楽しいひとときを過ごす。

そしてランスが立ち去った後でセント・レジャーの剣を見つけたロザリンドは、この剣がランスロット卿が探している聖剣エクスカリバーだと思い込んでしまう。


不思議な宿命を持つ一族セント・レジャーの物語「魔法の夜に囚われて」の主人公アナトールとマデリンの長男ランスロットを主人公にした、ロマンチック・ファンタジィです。

自分に自信が持てない夢見る乙女のように純粋な若き未亡人ロザリンドは、皮肉な態度でロザリンドに接する放蕩者のランスに怯え反感を抱き、苦悩を抱えた英雄でありながらロザリンドに優しい眼差しを向けるランスロット卿の幽霊を愛していると思い込んでいる。二人が同一人物であることには気づかずに・・・。

一方で他人に優しく自分に厳しいランスは、様々な理由から自分を完璧な父親アナトールの失望をかうだけの出来損ないのように感じている。

そんなランスもロザリンドが側にいるだけで心が安らぎ、ロザリンドこそが選ばれた花嫁だと思うようになるが、しかし自分と一緒にいるとロザリンドが不幸になると思い込んでいる。

そんな二人の恋の行方は・・・という物語で、悪くはないですけどね。


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