スティーヴン・グールド「ジャンパー」☆☆☆

ジャンパー

アル中の父親を持つ少年デイヴィッドは、暴力をふるう父親から逃れようとして突然テレポーティション能力に目覚めた。

見たことのある場所ならどこにでも瞬間移動できる能力を得て、デイヴィッドはニューヨークに移って新しい人生を見つけ出す。


読書好きでどちらかといえば内気な少年を主人公にした冒険SF小説です。

突然手に入った特殊な力は、望みの場所に瞬時に移動出来る能力で、虐待を繰り返す父親の元から逃れて大都会に出たものの、金はないし、働く事も出来ない年齢のデイヴィッドは銀行強盗をしでかします。とは言っても、夜間に金庫に瞬間移動して大金を盗むだけですが・・・。

正直に言えばうらやましいです。

こんな能力が欲しいと管理人も夢見ますが、でもやはり倫理的にはどうかな。

生きていくためには仕方がないのかもしれませんけど、どちらかといえば、こういう事をしないタイプの少年の様に描かれているので、この点には少し違和感を感じました。

どこか子供っぽさが残るデイヴィッドですけど、頭を使い自分の能力を活かして正体がばれないようにしながら都会で生きていきます。

そして大学生のミリーと知り合い恋人になることから、善良なミリーの影響を受けてデイヴィッドは成長していきます。

まだ大人になりきっていない少年の心の成長を描いた作品で、テロリストとの対決の場面など胸がすくような場面もあって楽しめる作品です。

超能力を否定的に捕らえていないで、全体的に明るい冒険SFなのが良いですね。

映画化されていて、そちらの作品も観ましたけど、原作の方がストレートで面白いと思いました。

 

このページの先頭へ