出久根達郎「佃島ふたり書房」☆☆

佃島ふたり書房

まだ佃島に渡船があった昭和30年台も終わりの頃、佃島の古本屋「ふたり書房」を一人の老人が訪れる場面から物語は始まります。

明治生まれの梶田郡司は親友の娘・澄子が亡き母の跡を継いで古本屋になる手助けをするために、かつて働いていたこの店に戻ってきました。

澄子の母・千加子は亡夫の親友・梶田に助けられて「ふたり書房」を経営していましたが、跡を継いだ澄子は一度は梶田の助けを断ります。

しかし古本屋を経営するには自分に知識がなさすぎる事に気がつき、梶田に頭を下げて教えを乞います。

そんな澄子と梶田の物語や梶田の回想などを交えて、古本業に取り付かれていく男を描いた直木賞受賞作品です。

読む前は「ふたり書房」という名前の古本屋を開業するに至った少年たちの友情物語かと思っていましたが、やや意外な話でした。

明治から戦後しばらくまでの間を背景にしていますが、昭和30年代はともかくとして、明治は懐かしさを感じるには遠い時代だし、主人公・梶田郡司の生き方も管理人にはあまりピンと来ません。

管理人の本を読む力が弱いのでしょう、淡々とした作品に直木賞受賞作という気がしませんでした。

かえって著者のあとがきの方に味わいを感じました。


このページの先頭へ