江波戸哲夫「マンション戦争(ウォーズ)」☆☆

マンション戦争(ウォーズ)

築25年と老朽化したマンションの建て替え問題にからんだ住民間の軋轢を描いた作品です。

一戸建てであれば所有者の判断で建て替えが決められるけれども、区分所有者の集まりであるマンションだと、それぞれの生活や年齢で考え方が違っていて、建て替えも一筋縄ではいかずに難しい。

単純に多数決で決めるという訳にも行かないし、最近では裁判沙汰にもなっています。

この作品では竜頭蛇尾というか、何となくいつの間にか終わってしまいましたが、現実には相当揉めるのでしょうね。

昔のように土地神話が残っていて、不動産価格は下がらないという状況ならば、解決策も見つけられるかも知れませんけど、これからマンションの建て替えはますます問題化していくように思います。

江波戸作品は時勢にあった興味深いテーマの作品が多いと思いますが、どうした訳かモヤモヤしたままで終わってしまうような印象があります。

現実的といえば現実的なんでしょうけど、この作品もそんな感じでした。


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