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ロイス・マクマスター・ビジョルド 「スピリット・リング」の感想です。

ロイス・マクマスター・ビジョルド「スピリット・リング」☆☆☆

スピリット・リング

15世紀のルネサンスの時代のイタリアを舞台にして、魔法使いの娘に生まれた16歳の少女フィアメッタが、邪悪な魔術師に立ち向かう姿を描いた、少しジュブナイルっぽい感じのする冒険ファンタジィです。


もうすぐ16歳になるお年頃の少女フィアメッタは、モンテフォーリア公爵に仕える偉大な魔法使いにして芸術家のプロスペロ・ベネフォルテの一人娘。

自らも魔術を扱う才能に恵まれているが、女だからという理由で表立って修行することが出来ず、かと言って持参金が不足しているために婚約の話も来ない。

フィアメッタが密かに恋心を抱いて憧れているスイス人の近衛隊長ウーリ・オクスは、丁重な態度で接してくれるけど一人の女性としては見てくれない。

そうした悩める日々の中、一人で魔法の練習をしていたフィアメッタは、ウーリの弟トゥールがベネフォルテの弟子として迎えられる事を知る。

その頃、公爵の姫君の婚約パーティーが開かれる事となり、その席上で姫君の婚約相手のロジモ公ウベルト・フェランテが反逆を企て公爵を殺害して国を奪ってしまう。

その動乱のさなかにベネフォルテもフェランテの手下に殺され、からくもモンテフォーリアから脱出したフィアメッタは、胡散臭い宿屋でモンテフォーリアに向かう途中のトゥールと出会う。

邪悪な魔法を使うフェランテから国を救うためにフィアメッタはトゥールと一緒にフェランテに立ち向かうことを決めるが・・・。


フェランテが指に嵌めたスピリット・リング(死霊の指輪)は、殺した相手の魂を取り込んでその力を使うというもの。フィアメッタとトゥールは魔法に囚われたベネフォルテとウーリの魂を救い、その魂をフェランテに利用されないために、訓練を積んでいない自分の魔法の力を利用しながら立ち向かいます。

勝ち目のない戦いに、フィアメッタのためと挑むトゥールが健気で格好良いですね。

純粋で真っ直ぐな性格で人が良くて、ジブリ・アニメの主人公の少年みたいです。

恐ろしげな黒魔術師が登場する割には、どことなく明るくユーモラスな雰囲気の作品で、素直に楽しめるファンタジィです。

ビジョルドの初期のファンタジィですが、管理人はこの作品がとても好きです。