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デイヴィッド・ゴードン「二流小説家」の感想です。

デイヴィッド・ゴードン「二流小説家」☆☆☆

二流小説家

売れない中年作家ハリー・ブロックは、ポルノからホラー・SF・ミステリィまで読み捨ての作品を書きなぐって生活している二流の小説家で、生活のために家庭教師などをしながら食いつないでいる。

長い間彼を支えてくれた同棲相手も、ついに彼を見限って別の男性と結婚してしまい、ハリーが家庭教師を務めている裕福な女子高生クレアが、マネージャーのような顔をして何くれなく面倒をみてくれている

そんなハリーの元に、ある日1通の手紙が届いた。

差出人は12年前に連続猟奇殺人を犯し服役中の写真家ダリアンで、死刑執行を間近にしたダリアンはある条件と引換に告白本の共同執筆者にならないかとハリーに提案してくる。

これを書いたらベストセラー間違いなしと考えたハリーは、殺人鬼の男が服役中の刑務所に面会に向かうが、それがハリーを巻き込んだ新たな事件の引き金に繋がり・・・。


キャラクターの設定が面白い小説です。

前半の3分の1くらいまで、情けない生活を強いられるハリーの独白が続き、これがまた妙に心惹かれる感じで描かれているのですけど、ハリーとダリアンの面会後にダリアンが起こした殺人事件と全く同じ手口の連続殺人が起こり、それからの展開が早くて、夢中になって読んでしまいました。

どこか人が良くて憎めない売れない中年作家ハリーと、彼の助手のような役割をしている世慣れていてテキパキとした女子高生クレア、それに12年前に双子の姉がダリアンの魔手にかかって以来何かに取りつかれてしまった美貌のストリッパーのダニエラなど、登場人物が中々魅力的です。

ひょっとしたらこういう事かな?と思った通りの筋書きでは有りましたけど、謎解きとかそういう事とは関係なく、流れに沿って楽しめるサスペンス小説でした。