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カレン・ローズ「誰かに見られてる」の感想です。

カレン・ローズ「誰かに見られてる」☆☆☆

誰かに見られてる

人との付き合いをほとんどしない敏腕の検事補クリスティン・メイヒューは、何事があっても常に冷静さを失わないため「氷の女王」と呼ばれている

しかしそうした表の顔とはうらはらに、本来だったら有罪判決を受けるべき犯罪者が悪徳弁護士や偏見の強い判事の手で無罪となるたびに傷つく感じやすい女性だった。

彼女はそうしたストレスを発散するため、ひとりで暮らす家の改装に時間を費やしている。

麻薬犯罪組織の囮捜査官をしていた優秀な刑事エイブ・レーガンは、自分の身代わりになってチンピラ・ギャングに銃撃され、脳死状態となった最愛の妻を忘れられずにいた。

麻薬組織に正体がバレてしまったエイブは、新しく殺人課に移ってきたところだった。

夜も更けた人気のない検察局のエレベーター前で偶然出会ったクリスティンとエイブの二人。

エイブはクリスティンを駐車場まで送るが、クリスティンのクルマはなぜかパンクしていた。

修理をしようとエイブがトランクを開けると、中にはクリスティンが担当した裁判で無罪放免となった犯罪者たちの殺害を示す数々の証拠と「あなたのつつましい僕より」と署名された手紙が入っていた。

誰かが無罪放免となった犯罪者を殺害している・・・。

その後もクリスティンの追求を逃れた犯罪者たちを狙う連続殺人事件は止まらず、犯罪被害者たちの賞賛をよそに、殺害された犯罪者の関係者による犯人探しとクリスティンに対する脅迫が始まる。

正義の味方気取りの犯人を追うクリスティンとエイブは、いつしかお互いに惹かれ合っていくが、そんな中でクリスティンに魔の手が迫り・・・。


2005年のRITA賞(米国ロマンス作家協会賞)を受賞したロマンチック・サスペンスです。

カレン・ローズはロマンス小説作家とされていますが、彼女の作品はサスペンスとロマンスのバランスが丁度良い感じの作品が多いです。

この作品も無罪判決を受けた犯罪者を殺害していく犯人を追うサスペンス・ミステリィで、全体の雰囲気はロマンス小説というよりもミステリィ小説という印象が強い気がします。

エドガー賞が取れるような小説ではないと思いますけど、それなりによく出来たサスペンスだと思います。

お互いに孤独なクリスティンとエイブが惹かれ合っていくのも、自然な流れであまりムリを感じないのが良いですね。

サスペンス好きにもロマンス小説を読みたい人にも向いていると管理人は思いますが、それぞれの面で中途半端という印象を持つ人もいるかも知れません。

管理人は結構好きですし、面白かった。