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ローラ・リー・ガーク「楽園に落ちた天使」の感想です。

ローラ・リー・ガーク「楽園に落ちた天使」☆☆☆

楽園に落ちた天使

西部開拓時代のアメリカ南部ルイジアナ。

アイルランドからアメリカに渡り、刹那的な生活をしてきたボクサーのコナー・ブラニガンは、賭けボクシングの八百長を断ったため胴元から袋だたきにされ、ボロボロの状態で道端に放り出される。

そこに町に向かう途中の女性オリヴィア・メイトランドが通りかかった。

南北戦争の前までは裕福な地主のお嬢様だったオリヴィアは、敗戦で生家は没落し、家族を失い、女手ひとつで親友の娘3人を養女にして、彼女に残された農場を何とか切り盛りしていたが、桃の収穫の季節を控えてどうしても男手を必要としていた。

道端に倒れている男はどう見ても曰く有りげだったが、看病が必要な人間を見捨てていくことなど出来ない性格のオリヴィアはコナーを馬車に乗せて農場に戻る。


独り身の女性が3人の女の子と一緒に切り盛りする農場に現れた風来坊の男。縛られることを嫌う流れ者の男だが、世話になった女性の手助けをして、彼女の土地を狙う地元の有力者に一緒に立ち向かい、そしていつしか二人は惹かれ合っていく・・・。

典型的な西部劇ですが、面白い作品です。

アイルランドの貧しい農民に生まれ、兄弟姉妹を極貧の中で亡くし、アイルランド独立を夢見て抵抗組織に加わわったものの、夢は破れ希望も何もかも捨ててアメリカに流れてきた男コナー。

南部の裕福な家庭に生まれながら南北戦争で兄二人を亡くし、気落ちして酒に溺れるようになった父の世話をしているうちに婚期を逃し、亡くなった親友の遺児を孤児院に送ることに耐えられず、彼女たちを引き取って一緒に暮らしている女性オリヴィア。

初めは賭けボクシングで生活するコナーを野蛮な男とみなして距離を置いていたオリヴィアが、頼り甲斐のある逞しいコナーに懐く娘たちの様子を見ているうちに、彼に理想の男性像を見出して惹かれていく。

一方平穏な家庭生活に憧れているのに家庭を築くのが怖いコナーは、自身の過去もあってオリヴィアの元から離れようとするが、どうしても離れられない。

1997年のRITA賞(米国ロマンス作家協会賞)受賞のベタなロマンス小説ですけど、話の運び方がうまいのか、ついつい先を読みたくなる作品です。