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デニス・ルヘイン「夜に生きる」の感想です。

デニス・ルヘイン「夜に生きる」☆☆☆

1920年代から30年代にかけてのアメリカ禁酒法時代、ボストンの警察幹部の息子ジョー・コグリンは、父親に対する反抗心から自らを無法者だと称してささいな強盗などを働いていた。

しかしたまたま強盗に入った賭博場で、町の暗黒街を支配する大立者の情婦エマと知り合った事から、ジョーの運命は狂いだしていく。


無法者と自称する聡明な青年が大きな事件を起こして投獄され、出所後にギャングとしてのし上がっていく様子を描いたノワール小説です。

なんでも3部作の2作目の作品と言うことですが、管理人はデニス・ルヘインの小説を初めて読みました。

特に1作目を読まなくても大きな問題はなく、久しぶりに面白いギャング小説を読んだという気がしました。

恵まれた家庭に育ちながら、すれ違う両親の間で自分を見失い、町のチンピラと化したジョー。

優秀だった二人の兄とはそれぞれの理由から疎遠となり、町で知り合ったイタリア人兄弟と酒場や賭場を襲って小銭稼ぎをする日々。

そうした行動を繰り返す彼の心境が今ひとつ分かりづらいのですが、ギャング小説の傑作「ゴッドファーザー」などとは少し違った、禁酒法時代の情緒のようなものを感じるサスペンス小説です。

初めは自分を無法者だと言ってそれなりの挟持を持っていた青年ジョーが、成り行きからギャングになり、のし上がっていく姿が自然な感じでした。

非情なギャングになっても、どこか非情になりきれない青年に感情移入しやすくて良かったですね。