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ダン・シモンズ「鋼」の感想です。

ダン・シモンズ「鋼」☆☆☆

鋼

タフで頑固一徹といった感じの元私立探偵ジョー・クルツは、パートナーの女性を殺した犯人の男二人を殺害して服役した。

11年の刑期を終えて出所したクルツは、落ち目のマフィアのファリーノ・ファミリーのドンの家に向かう。ドンの顧問会計士が失踪した事件を調査するというのが名目だったが、立て続けに起きているトラブルを解決してやろうというのだ。

背に腹は代えられぬと、ドンはクルツに仕事を依頼するのだが・・・。


ちょいと古風な印象を受ける正統派のハードボイルド・アクション小説です。

主人公クルツを狙う凶悪な殺し屋、買収されている悪徳刑事、クルツに殺された兄弟の敵を取ろうと狙う男、ドンの後釜を狙う野心家の娘、それにデンマーク人と呼ばれる正体不明の凄腕の殺し屋が入り乱れて、実にテンポ良く話が進みます。

都合の良い展開ではありますけど、読者を飽きさせない手腕はたいしたものです。

ともかく主人公がやたらタフでクールで直情的で自分の生き方がしっかりしていて格好良い。こういう作品では一番大切な要素だと思います。

シンプルだけど、とても楽しめるハードボイルド小説です。