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アーネスト・ヘミングウェイ「老人と海」の感想です。

アーネスト・ヘミングウェイ「老人と海」☆☆☆

老人と海

小さな帆かけ舟で漁をして暮らしているキューバの老漁師サンチャゴは、いつも手伝ってくれる少年がいない日に一人で大海原に漁に出る。

久しぶりに針にかかった大物の手応え。老人と獲物のカジキマグロとの数日にも及ぶ死闘の末、何とかカジキを仕留めたサンチャゴだったが・・・。

アメリカを代表する作家ヘミングウェイの名作です。それ程長い小説ではないので、読みやすいと思います。

老人と海というタイトルが、短くシンプルですけど、色々と想像を働かせてくれて良いですね。

サンチャゴの暮らしを支えてきた豊穣な海、彼を生かしてくれた海はまた彼の生を少しずつ奪っていくものでもあった。

その海を象徴するような巨大なカジキに立ち向かうサンチャゴの脳裏に浮かぶ様々な思い。

最後に自分の家で老いた漁師が見る、若かりし頃にアフリカで見たライオンの夢というのは、頑強だった昔を偲んでのことなのでしょうか。

大自然に対して捧げられる敬意、最後まで戦い続ける男に対する賛嘆。

勇ましく、それでいて寂寥感が漂う名作です。