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有川浩「阪急電車」の感想です。

有川浩「阪急電車」☆☆

阪急電車

阪急電鉄の始発駅から終点までを舞台にして、ひとつの車両内に乗り合わせた乗客の人間模様を連作短編の形式で描いた作品です。

阪急電車は、関東に住んでいる管理人にはあまり馴染みが有りませんが、まぁ内容的には池上線とか田園都市線とかをイメージして読んでも大差はないと思います。

よく行く図書館で見かけて気になっていた女性が同じ電車内にいることに気づいて、声をかけるかどうか悩む男性とか、社内の後輩に彼を取られた女性の意地とか、わがままな彼氏に振り回される女子大生とか、気の合わない友人たちとのお出かけに嫌気が差している中年女性とか、様々な人間模様が展開されています。

趣向として面白いのは、電車の行き帰りで描かれている点で、行きで登場した人物が帰りの電車(当然違う日ですけど)にも登場して、各々が抱えていた問題や悩みを良い方向に変えて、人間的に成長している事です。

人間の日々の営みを暖かい視点で見つめて描いた、短いけれども中々読み応えのある作品で、面白かったです。