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有川浩「三匹のおっさん ふたたび」の感想です。

有川浩「三匹のおっさん ふたたび」☆☆☆

三匹のおっさん ふたたび

還暦を迎えた幼馴染の男三人が、町内限定の正義の味方になって、ご近所のトラブルに立ち向かうという「三匹のおっさん」の続編になります。

前作よりも三匹のおっさんたちの活劇場面は減って、その代わりに親子の情愛や熟年のロマンス、町内の人達のつながりなどをユーモラスに描いた連作短編になっています。

今回の作品もなかなか良かったですねぇ。

キヨさん家のお嫁さんがパートに出る話は何となく共感できるし、万引き少年と書店の話も今の不思議な世の中をうまく描いています。

それにしてもキヨさんの孫・祐希は出来た少年ですね。

そんな出来た孫とノリさんの娘・早苗との恋の様子や進路、ノリさんの縁談に揺れる早苗の複雑な乙女心などもわかりやすい感じがして良い。

些か寂しく複雑な気持ちになるのは、最近の年寄りのモラル崩壊を素直に描いているところです。

今の日本では、最近の若者は云々と言えないような傍若無人なお年寄りや大人が増えています。

かえって若い人のほうが良心的なんだけど、でも大人のいうことには従わなくちゃ、というのが主流で、しかしそれも変な話ですなぁ。

日本はどうなっちゃうんだろうという不安と、でもしっかりした若者が増えているという安心感と、この辺りは現代日本をキチンと描いていると思います。

また町内で神社のお祭を復活させる話も、管理人は良かったですね。

勝手なことばかり言う人やチャッカリした人、何も言わずに協力してくれる人など、こういう行事では様々な人間の本質みたいなものが現れますけど、シゲさんかっこ良すぎるぜ。

こういう男になりたいものです。