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有川浩「ラブコメ今昔」の感想です。

有川浩「ラブコメ今昔」☆☆

ラブコメ今昔

自衛隊員の恋愛模様を綴った、明るい雰囲気の6篇の短編集です。


表題作「ラブコメ今昔」は、新任の広報誌担当自衛官・矢部千尋二尉が、空挺団を率いる大隊長の今村二佐に奥さんとの馴れ初めを広報誌に載せたいからとインタビューを申し込むところから始まります。とんでもないと逃げ回る今村二佐としつこく追い回す矢部二尉の可笑しさと、今村夫妻の馴れ初めがホンワカしています。

「軍事とオタクと彼」は、新幹線の中で知り合い一目惚れした二つ年下の自衛官の彼と遠距離恋愛する女性の話。

「広報官、走る!」は、「広報官には女たらしが向いている」と言う理由で広報担当に引き抜かれた自衛官と、テレビ局の下っ端ADの女性が、ドラマ番組制作でプロデューサーの無茶な要求に協力して対処しているうちに惹かれ合っていくという話。最後にスッキリさせるのは流石。

「青い衝撃」は自衛隊の花形ブルーインパルスの隊員の妻が、夫につきまとう美人からの手紙でノイローゼ気味になるという、珍しくサスペンスめいた雰囲気の物語。もちろん最後はハッピーエンドですけど。

「秘め事」は親しい上官の最愛の娘と恋仲になって悩むヘリ・パイロットの青年の話で、ちょっとシリアスでちょっとドタバタな雰囲気の作品。

「ダンディ・ライオン―またはラブコメ今昔イマドキ編」は、表題作で登場した女性広報官の矢部千尋の真っ直ぐな恋愛が描かれていて、これはこれで気持ちが良い作品です。


自衛隊に興味があって、ロマンス小説が好きで、ハッピーな気持ちになりたい方にはピッタリの短編集です。