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有川浩「アンマーとぼくら」の感想です。

有川浩「アンマーとぼくら」☆☆

アンマーとぼくら

休暇で沖縄に帰ってきたぼくを、那覇空港まで迎えに来てくれたのは「おかあさん」。

3日間の休暇を「おかあさん」と島内観光をして過ごすうちに、父と「おかあさん」とぼくの3人で暮らした昔の思い出が蘇ってくる。

プロのカメラマンだった父は、北海道で小学校の教師をしていた母と知り合い、恋に落ちて結婚、ぼくが生まれた。

しかし母が癌で入院すると、父は何故か母を避けるようになり、母の死後はぼくを祖母に預けたまま旅に出てしまう。

そんな父が沖縄で知り合ったのが「おかあさん」で、「おかあさん」と熱烈な恋に落ちた父は再婚し、小学生のぼくを北海道の祖母の元から引き取って、沖縄で暮らすようになった。

母を見捨てたような父に反感を抱き、沖縄にも新しい母親にも馴染めなかったぼくだったが・・・。


32歳の男性が実家のある沖縄に帰って、観光ガイドをしている義理の母である「おかあさん」と島内観光をするうちに、その場所で起きた出来事などの記憶が蘇り、沖縄に来た頃の思い出や、最初は晴子さんと名前で呼んでいた義母を「おかあさん」と呼ぶようになった事情などが描かれていきます。

ぼくの現在の記憶が曖昧で、どこか曰く有りげな展開で、単純な昔を回顧するようなヒューマン・ストーリーではないということは想像がつきます。

それは概ね思った通りの展開で、そういう風な事が起きたのは沖縄という土地や、そこに住まう神様の不思議なちからという事のようです。

こういうファンタジックな人情ストーリーは、管理人は嫌いではありませんけど、沖縄の観光案内を読んでいるような箇所が多くて、もっとコンパクトに短編に纏められるような物語ではないかと思いました。

それに父親が自分勝手な子ども過ぎて、親として大人としてどうなんだろう。ちょっと感情移入しづらかったですね。