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荻原浩「愛しの座敷わらし」の感想です。

荻原浩「愛しの座敷わらし」☆☆☆

愛しの座敷わらし

地方都市の郊外の田舎家に東京から越してきた高橋一家は、夫婦と子どもが二人、そして夫の母親が一緒に暮らす5人家族。

夫が物好きな人で、わざわざ辺鄙な片田舎に建つ築100年以上が過ぎた古民家を改築した家に移り住む。

生意気盛りの中2の長女は前の学校に親しい友達がいなかった。小4で大人しい性格の長男は喘息持ちで過保護に育てられている。

人は良いけど出世街道から外れた父親は何となく疎外感を抱き、連れ合いを失くした祖母には少し認知症の気配がある。母親はそんな家族との暮らしに少々お疲れ気味の様子。

そんな家族が越してきた古い家には、実は座敷わらしが住んでいた。

何かおかしな事件が起こることに気がついた高橋家の人たちは、初めのうちは家にいるらしい怪しい存在に怯えたりするが、それが座敷わらしらしいことに気がつくとともに、次第に周囲の環境に慣れていき、それぞれが持っている問題点に向き合い、家族の絆を取り戻していく。


どこかほのぼのとしたヒューマン・ストーリーです。

一応改築した古民家に住むという設定が良いですね。

本当の古民家だったら都会の人間が住むのは大変ですけど、現代的な修繕を施してあるということで生活が自然に感じられます。

またボケ始めたおばあちゃんが一緒に住んでいるのも良いですね。

昔の知恵を持っている老女が座敷わらしと出会いボケが収まっていく姿や、友達がいなかった子どもたちが、近所の子供たちと仲良くなっていくところなどが違和感なく読めました。

日本的なモノの良さを感じる和風ファンタジィで大人の童話という雰囲気があって、何やら癒やされていくような気持ちになる小説です。

古民家ぐらしも楽しいかもね、なんて思ってしまいますね。