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ジェフリー・ディーヴァー 「ボーン・コレクター」の感想です。

ジェフリー・ディーヴァー「ボーン・コレクター」☆☆☆

ボーン・コレクター

ニューヨーク市警の科学捜査部長で「世界最高の犯罪学者」と呼ばれたリンカーン・ライムは、捜査中の事故で脊髄を損傷し四肢麻痺の身体となってしまった。

警察を辞め巨額の補償金を得て、介護士を雇ってかろうじて生きながらえているが、彼の脳裏にあるのは安楽死で、安楽死を容認する非合法の団体と連絡を取っている。

安楽死を幇助する医師がライムを訪れたその日、ライムの元にNY市警の刑事が訪れ、猟奇殺人事件の捜査協力を要請してくる。

ケネディ国際空港からタクシーに乗った出張帰りの男女がタクシー運転手に拉致され、しばらくした後に、腕を地面に出した状態で生き埋めにされた男が発見される。

男の肉をそぎ落とされた薬指には女物の指輪がつけられていたが、女の行方は未だに分からない。

行き詰った捜査のヒントが欲しいと依頼する旧知の刑事に対して、最初は協力を渋ったライムだったが、遺体の第一発見者アメリア・サックス巡査を自分の目として搜査現場に派遣する事を条件に、事件の解明に乗り出す。


元NY市警科学捜査部長のリンカーン・ライムを主人公にしたミステリィ・シリーズの記念すべき第1作目の作品になります。

デンゼル・ワシントンとアンジェリーナ・ジョリー主演で映画化されているので、そちらをご覧になった方も多いのでは・・・。

現場に残された微細な証拠を頼りに搜査を進めるライム。楽な広報課に異動することが決まっていたのに、無理やりライムの指揮下に置かれて怒りを露わにする市警一の美人警察官アメリア・サックス。始めは対立していた二人ですが、捜査が進むうちに心を通わせるようになっていきます。

犯人ボーン・コレクターがあえて警察にヒントを残していく理由、狂気に侵されたボーン・コレクターの狙いなど、狂人のたわむれというだけで終わらせないラストも見事ですし、自殺を望みながら事件に打ち込むうちに悲惨な現状を忘れていくライムの姿も説得力があります。

しかし超優秀な警察官だったと言えども今は民間人のライムを捜査責任者のように出来るとしたら、ニューヨーク市警ってスゴイ組織ですねぇ・・・なんて事も思いました。

確かにジェットコースターに乗っているかのようなスピード感と、次に何が起るのか分からないワクワク感がすごくて、一度は読む価値のあるミステリィだと思います。