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ジェイン・アン・クレンツ「緑の瞳のアマリリス」の感想です。

ジェイン・アン・クレンツ「緑の瞳のアマリリス」☆☆☆

緑の瞳のアマリリス

250年前に地球から隔離されたしまった殖民惑星セント・ヘレンズでは、地球とは大きく異なる環境で生きていくうちに、いろいろな超能力を持つ人間が生まれるようになった。

ただし、この超能力は超能力者一人だけでは力をうまくコントロールすることが出来ず、プリズムと呼ばれる超能力を支え増幅する能力を持つ補完能力者と協力しないと使いこなすことが難しい。

非常に強力な超能力を持つ企業経営者トレントは、自分の会社で行なわれている不正を暴くため、自分の能力に見合うレベルのプリズムを見つけようとプリズム派遣会社に出向く。

トレントが出会ったのは、極めて有能なプリズムだが少々堅物の、緑の瞳を持つ美しい女性アマリリスで、成功するために法に縛られず自分のルールで生きてきたトレントは、堅苦しいアマリリスに何故か惹かれてしまう。

アマリリスを雇ったトレントは恋人を装って会社の機密が取引されるパーティに出席するが、二人が協力してトレントの超能力を使ったとき、二人には経験したことがない絆が生まれ・・・というような、SFを背景にしたロマンチック・ミステリィです。


家族を大切にする文化が色濃く残り、結婚という制度に重きを置いている世界で、古風な倫理観を持つアマリリスという女性が、とても魅力的に描かれています。

ラストに近づくに連れて緊迫感が出てきますけど、あまりサスペンスは重視していないし、ハラハラ・ドキドキするようなタイプの作品では有りません。

少しコミカルに男女の気持ちのすれ違いなどを描いた楽しめるロマンチックSFで、管理人はとても面白かった。


尚、原書はジェイン・キャッスル名義で発表された作品ですが、日本ではジェイン・アン・クレンツ名義で出版されました。

外国のジャンル小説って別名で出版されることが多くて紛らわしいですよね。

ウィキペディアによれば、ジェイン・アン・クレンツ(Jayne Ann Krentz)は、ジェイン・キャッスル( Jayne Castle )、ジェイン・テイラー( Jayne Taylor )、ジェイン・ベントレー( Jayne Bentley )、ステファニー・ジェイムズ( Stephanie James )、アマンダ・グラス( Amanda Glass )、アマンダ・クイック( Amanda Quick )などの名前で作品を発表しているようですが、日本ではヒストリカル・ロマンスがアマンダ・クイック名義で、それ以外の作品はジェイン・アン・クレンツ名義で出版されることが多いようです。

この小説はハヤカワ文庫SFから出ていたので、管理人はロマンス小説ではなく普通のSFだと思って読みました。

好みの小説だったので、その後は見事にクレンツ作品に嵌ってしまいました。