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ジェイン・アン・クレンツ「フェニックスに唇が触れる」の感想です。

ジェイン・アン・クレンツ「フェニックスに唇が触れる」☆☆

フェニックスに唇が触れる

世の中には特殊な稀覯本があった。

書かれた内容を秘めておくため超能力により暗号化された本で、その暗号化を解除するには特別な力が必要になる。

そしてそういう本を求める好事家たちには、その世界にとりつかれて暗号本を入手するためには手段を厭わないような危険な人物も多い。

表向きは古書ディーラーをしているアビーは強力な超能力の持ち主で、知る人ぞ知る超一流の暗号本の解除者だったが、ある夜暗号本の収集が趣味の女性宅で、精神に異常をきたした若い男性に襲われる。

その男はアビーにとある本の暗号を解除するよう命じるが、アビーは暗号を解除した時に発生した強力なエネルギーを男に向けて放射し男を取り押さえる。

折しもこの裏社会では、水晶のエネルギーについて書かれた暗号化されたノートが市場に出回るという噂が流れ、とてつもない大金が動くとされている。

何かがおかしいと感じたアビーは信頼の置ける取引仲介者に相談し、彼に紹介されたコンサルタントのサムに会うため、サムの一族が所有する島を訪れる。

一方、サムとサムの両親は、膨大なエネルギーを秘めながら制御することが難しく、極めて危険な力を持つ特殊な水晶に関しての研究ノートが悪人の手に渡ることを恐れていた。

島で出会ったサムとアビーはお互いに惹かれるものを感じるが、アビーの能力を利用しようとする危険な影が彼女を狙っていた。


特殊な水晶エネルギーを利用できる超能力者一族を主人公にしたダーク・レガシー・シリーズの1作目です。

アーケイン・ソサエティ・シリーズもハーモニー・シリーズもSF系の作品ですが、この作品もロマンチック・サスペンスSF小説といったところ。

特殊な能力を持ちながら誰にも信じてもらえずに、一種の更生施設のような所に閉じ込められた経験を持つ女性アビーは、どこか他人に対して醒めたものを持っています。

そんなアビーと、婚約者を殺したという噂がある男性サムとのロマンスを絡ませながら、水晶を狙う人物の企みを描いて、いつものクレンツの世界が広がります。

ただ、クライマックスが少しショボかったですね。

いつもだったらもう少し工夫されているのに、この作品は今ひとつ盛り上がりに欠けている気がしました。