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ジェイン・アン・クレンツ「この愛はいつか見た愛」の感想です。

ジェイン・アン・クレンツ「この愛はいつか見た愛」☆☆☆

この愛はいつか見た愛

山間の小さな田舎町ウィッツエンドで食料雑貨店を経営するセレニティ・メイクピースは、閉塞した町の現状を打破しようとカタログ通販事業の立ち上げを決め、そのアドヴァイスを受けるべく敏腕コンサルタントとして名高いケイレブ・ヴェントレスと契約した。

セレニティの事業はケイレブが契約するような規模でなく、資金に乏しいセレニティには高額なコンサルタント料も支払えないが、ケイレブは事業が成功した時に報酬を支払うというセレニティからの申し出を受けた。

ケイレブはセレニティを一目見たその時から、彼女に強く惹かれてしまっていた。

しかしそれから数週間後、ケイレブの元を訪れたセレニティは、友人の写真家が撮った彼女のヌード写真と、ケイレブとのコンサルティング契約を破棄しなければその写真をケイレブに送るという脅迫状が送られてきた事を彼に告げる。

セレニティには訳の分からない脅迫だったが、それはケイレブの両親が起こしたスキャンダルを彷彿させる出来事で、怒りに我を忘れたケイレブはセレニティを責めるような口調になってしまい・・・。


1990年代に発表されたクレンツのロマンチック・サスペンスです。

他人とのコミュニケーションにいささか問題があるウィッツエンドの風変わりな住人たち、人が良くて行動力があって常に真っ直ぐなヒロイン、何事にも動じない冷静なヒーロー、過去のスキャンダルに傷ついた名門一家、何者かが送った脅迫状の謎、ヌード写真を撮影した写真家の事故死など、サスペンス要素に家族再生の物語と主人公たちのロマンスを交えた、クレンツらしさが満載の作品になっています。

多作なロマンス小説作家のクレンツらしく、どこかで読んだような設定が多いけれども、あまり極端な展開にはならない安心感があって管理人は好きです。

クレンツの脂が乗っている時期の作品で面白かったですね。