万城目学「偉大なる、しゅららぼん」☆☆☆
琵琶湖のほとりにある町・石走には、琵琶湖から不思議な力を授かった日出家と棗家の両家が住み着き、周囲に隠然たる影響力を持っていた。
日出家の分家の少年・涼介は出来ればこんな力は欲しくないと思っているが、能力を制御する力を付けるため、高校入学を契機に日出家本家で暮らすことになる。
そこで出会ったのは、涼介と同学年で同じ学校に通うことになる本家の跡継ぎで殿様のような尊大な態度の淡十郎と、その姉で引きこもりの変わり者・清子で、この二人とかかわりを持ったことから、涼介はとんでもないトラブルに巻き込まれていく。
特殊能力を持ってはいるものの、ごく普通の家庭に育った涼介が、常識に外れた日出家本家の人々に驚き、ひょんなことから淡十郎に変に気に入られ、家来にしてやると言われて引きずりまわされる辺りが笑えます。
恋あり友情ありの青春ストーリーに、権力争いのような雰囲気を加えて、そこに琵琶湖の不思議な能力をめぐる騒動が描かれていて、ユニークな万城目ワールドが展開されます。面白かった。