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大島真寿美「渦 妹背山婦女庭訓 魂結び」の感想です。

大島真寿美「渦 妹背山婦女庭訓 魂結び」☆☆☆

大阪・道頓堀の儒学者・穂積以貫の次男・成章は、演芸好きの父に連れられて竹本座の浄瑠璃を見るようになってから、すっかり人形浄瑠璃の世界に捕らえられてしまった。

厳しい母・絹はそんな浄瑠璃狂いの成章を見限り、成章は両親からの勧めにより京都・山科に住む父の知人の儒者・有隣軒に預けられた。

体よく家を追い出された成章に、父・以貫は近松門左衛門に貰ったという硯を渡し、京都に移ってから近松半二と名前を変えた成章は、紆余曲折の末に人形浄瑠璃の作者として世に出ていく。


人形浄瑠璃の作者で「妹背山婦女庭訓」などを遺した近松半二の生涯を描いた作品です。

人形浄瑠璃、文楽と言っても、今では歌舞伎以上に普通の人には馴染みのない伝統芸能ですけど、江戸時代には大変人気があった大衆演芸なんですよね。

そうした大衆演劇の舞台を作り上げていく人々や、作者たちの業とも言える物語に対する執着のようなものを独特の語り口で見事に描いていると思います。

しかし、管理人は直接本物の文楽を見たことがないんですよね。

また見たとしても通り一遍の感想しか思い浮かばず、こうした小説に出てくる人たちみたいな鑑賞眼や感受性はおそらくないだろうなぁ・・・。

それでも、文楽の知識など皆無な管理人でも意外と楽しく読めて面白かったです。