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ニール・ゲイマン「グッド・オーメンズ」の感想です。

ニール・ゲイマン&テリー・プラチェット「グッド・オーメンズ」☆☆

グッド・オーメンズ

反キリストのサタンの息子がこの世に出現してヨハネの黙示録に記されたハルマゲドンを起こすとされるオーメンの話をパロディにしたユーモア・ファンタジィです。

もちろんニール・ゲイマンが素直にハルマゲドンの物語を書くはずもなく、この世を滅ぼす運命だという赤ん坊は悪魔崇拝者の看護婦の勘違いから、アメリカの外交官一家ではなく、イギリスのごく普通の夫婦の子供と取り替えられ、平穏な町で普通の腕白小僧としてすくすくと育てられています。

取替えが行なわれてから11年がたち、アメリカの外交官一家を監視していた人の良い悪魔クロウリーは恐ろしい手違いが起こった事に気がつき、ライバルで同じようにお人好しの天使アジラフェールと協力してこの運命の子供を探し出そうとするのだが・・・という訳でコメディっぽいハルマゲドンが始まります。

「死」とか「汚染」「戦争」「飢餓」という抽象的な名前を持つ黙示録の四騎士まで現代風に変えて登場させるなかなか仰々しい話ですが、それ程宗教的なわけでもエンターティメントに徹しているわけでもない、けっこう寓意性をブラック・ユーモアで包んだ不思議な雰囲気が漂っている作品です。