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ピアズ・アンソニィ 「カメレオンの呪文」の感想です。

ピアズ・アンソニィ「カメレオンの呪文」☆☆☆

カメレオンの呪文

住人の誰もが、ひとつは魔法の力を持っている魔法の国ザンスでは、25歳になっても魔法の力を発揮できないと、人間の世界マンダニアに追放されてしまう。

しかしビンクにはいつまで経っても魔法の力が現れなかった。

両親はともに魔法使いに準ずるような強い魔法が使えるのだから、自分にも隠された強い魔法の力があるはず。

そう考えたビンクは、自分の魔法の力を教えてもらおうと、姿を隠している良き魔法使いハンフリーを探す旅に出るのだが・・・。


非常に明るく楽しめる英国幻想文学大賞受賞のユーモア・ファンタジィです。

シリーズ化されて現在20巻以上出版されていますけど、管理人が本当に面白いと思ったのは3巻くらいまで。

もちろんその後の作品も面白いし楽しめますけど、何となく惰性で続いている印象を受けてしまいます。

そうは言っても並のファンタジィよりも面白いので、管理人も結構買っていますけど・・・。

この第1作目では、魔法の世界で魔法が使えない主人公ビンクの自己発見の旅がメインテーマになっていますけど、彼が様々な地で出会う人物や怪物などが皆それぞれに個性的で面白いですね。

例えば、人間の頭、ライオンの体、ドラゴンの翼、サソリの尻尾を持つ怪物「マンティコラ」ですら、物語にはホンの少ししか登場しないにも関らずとても存在感があります。

そうした中で、ビンクが心ならずも旅の仲間になってしまう邪悪な魔法使いトレントは、非常に複雑な性格で魅力に溢れる人物です。

抜きん出た魔法の力を持ちながら、その使い方を間違えた故に魔法の国を追放され、追放先の魔法の使えない国マンダニアでも持って生まれた指導力や行動力で頭角を現し、ザンスに戻ろうと画策しています。

また、ビンクが出会う女性たちもそれぞれ個性的で魅力がいっぱいです。

語呂合わせで設定されたザンスという魔法の国の持つ楽しさや、おかしな魔法の数々や奇怪な生き物たちも、よく出来ていて面白い。

内容的にもっとバカらしい印象を受けても良いはずですが、このシリーズの特に初期の作品は、ダジャレが多用されているながらも案外とロジカルな作品が多くて、大人でも楽しめる作品だと思います。

ちょっと笑えて、ちょっとした謎が用意されて、ちょっとロマンチックな場面もある、愛と冒険の物語で、読んで明るい気持ちにさせてくれる楽しいファンタジィです。