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半村良「セルーナの女神」の感想です。

半村良「セルーナの女神」☆☆

セルーナの女神

SF3編、時代小説3編、一般小説2編からなる短編集です。


半村良という作家は日常の生活を普通に描いた上で、その題材を奇想天外にまとめ上げて、身近なSFというか、私小説的SFのような作品に仕上げるのが上手だと思います。

男女の情事の話で、女に主導権を握られていた男がある日を境に立場を逆転させるけど、そうなると何となく女が疎ましく思えてくるという「汗」や、「マンションの女」のような一般小説、「子犬」「奸吏渡辺安直」「伊勢屋おりん」の時代小説3編も悪くはないのですが、どこか落語的な味わいを感じる半村良的私小説SFの方が管理人には面白かったです。

表題作「セルーナの女神」は時間を司る女神をテーマにした皮肉な物語、「巨大餃子の襲撃」はSF作家らしいおふざけモードがある作品でそれぞれ味がありますが、特に「おなじみの夢」にしみじみとしたモノを感じました。