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九井諒子「ダンジョン飯」の感想です。

九井諒子「ダンジョン飯」☆☆☆

ダンジョン飯

とある村の地下に突如現れたダンジョンには一千年前に滅亡したはずの黄金の王国が古の魔術師により囚われていて、魔術師を滅ぼし王国を解放した者には、その財宝全てが与えられるという。

かくして、巨万の富を得ようと各地から冒険者達がダンジョンにやって来た。

その一人の戦士ライオスは、妹の僧侶ファリン等と共にダンジョンの奥地に進んでいたが、食糧不足で空腹な状態の中で凶暴なレッドドラゴンに襲われ、ライオスをかばったファリンはドラゴンの餌食となり、ファリンの最後の魔法でパーティのメンバーはからくも逃げ延びたが、貴重なお宝もアイテムも全てなくしてしまう。

身につけた装備品以外の全てを失ったライオスは、それでもライオスと行動を共にするという仲間の魔法使いマルシル、鍵師チルチャックと3人で、ファリンがドラゴンの胃の中で完全に消化される前に何とか救出しようとダンジョンに戻ることを決めた。

しかし金も食料もなく、どうやってファリンを救い出すのか。

そんな時、ライオスはダンジョン内で退治したモンスターを食料にすれば良いのではないかと思いつくが、料理方法が分からない。

そこにモンスターの調理方法に詳しいドワーフのセンシが現れて仲間に加わり、4人のパーティはダンジョンで食料を調達しながら、ファリン救出に向かう事となる。


よくあるRPGゲームのような設定でありながら、架空の食材を使ったグルメ・マンガに仕上げたコミカルな感じのファンタジィです。

そりゃ、スライムやバジリスクやマンドラゴラを食す機会など永遠にないからね。確認のしようもありませんよね。

そういう食材を入手するに至るまでのみんなの頑張りもおかしいし、それを巧みに調理するセンシの淡々とした様子や、変に合理的な態度もおかしい。

「モンスターを食べるなんて絶対にイヤ!」と言っていたエルフの娘マルシルが、結局嫌々食べながらも、最後は意外と美味しそうな表情をするのも何か笑えます。

そんなバカらしい奇妙なグルメマンガでありながら、それほどバカらしさを感じないのは何故なんでしょうかね?時折妙にリアルに感じるのが不思議な感じです。

もちろん、ただ食べているだけのマンガではなく、ダンジョンで出会うモンスターたちもよく出来ていて、彼らの生態にもどこかユーモアがありますし、それと戦うライオスたちの力の抜けた雰囲気もゆるくて、こういう緊張感がかけている冒険マンガというのもオツなもので、管理人は大層気に入りました。