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ロバート・シェクリィ「ロボット文明」の感想です。

ロバート・シェクリィ「ロボット文明」☆☆☆

ロボット文明

地球の犯罪者たちの流刑地とされる惑星オメガ。

地球から隔離され、犯罪者だけが暮らすこの惑星での平均生存年数はおよそ3年、地球の法律や社会制度は通用せず、奴隷・平民・自由市民・貴族という階級社会が構築され、巧みに罪を犯すものが優遇されるという独自のルールにより人々は暮らしている。

地球で犯罪を犯した人間は過去の記憶を消された上、宇宙船に乗せられて、ここオメガで奴隷階級として新しい生活を送ることになる。

殺人を犯したとしてオメガに流されたウィル・バレントもそうした犯罪者の一人だった。

オメガに到着早々、新移民者の営舎から町を見学に出たバレントは、新上陸者を狩る貴族階級の男たちに狙われるが、そのうちの一人を返り討ちにした事によりいきなり自由市民階級になる。

力ある犯罪者の楽園とも言えるオメガ。しかしバレントにはどうしても自分が殺人を犯した犯罪者だったとは思えない。

誰かの密告により無実の罪でオメガに流されたのではないかと考えた彼は、オメガの非合法組織の力を借りて地球に戻る方法を模索する。


管理人が小学生の頃に初めて自分の小遣いで買った文庫本でありSF小説です。

「ロボット文明」というタイトルに惹かれ、面白そうな作品紹介に惹かれて、当時の管理人には大金だった150円を出して購入しました。

夢中になって読みましたね。

その後も何度読み返したか分からない、管理人の人生にとても大きな影響を与えた小説です。

おそらくこの小説に出会っていなかったら、今の管理人はいなかったでしょうね。

記憶を奪われた男が厳しい環境の流刑地で、様々な困難を乗り越えていくというような冒険SFの要素もありますけど、シェクリィらしいアイディアと文明批評が根底にあって、何故バレントが犯罪者としてオメガに送られることになったのか、その真相が当時の管理人には衝撃的でした。

当時はとても人気が高いSF作家だったシェクリィですが、彼の長編は物語の展開がどこか混沌とした感じで、子どもが素直に楽しめる作品は少なかったと思います。

そうした中でこの作品は、ある程度スッキリと決まっているので読みやすい作品だと思います。

こういう作品が絶版になっているのは残念です。