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月村了衛「機龍警察」の感想です。

月村了衛「機龍警察」☆☆☆

機龍警察

世界中で発生するテロや紛争において近接戦闘兵器・機甲兵装が使用される時代になり、犯罪組織による機甲兵装の密貿易や市街地における使用などにより日本国内でも多大な被害が出ていた。

日本政府は警察法などの法律を改正し、警視庁に銃器の使用などを特別に許可された新たな部署「特捜部」と既存の機種よりも数年は先を行くという最新鋭の機甲兵装「龍機兵(ドラグーン)」を導入した。

特捜部は全国の警察組織から優秀な人材を専従捜査員として引き抜くとともに、三人の外部の専門家をドラグーンの搭乗員として契約するが、それは既存の警察組織からの大きな反感を買い、警視庁特捜部は警察内部で孤立化することとなる。

そうした中、機甲兵装による立て篭もり事件が発生し、警視庁警備部のSAT主導により特捜部のドラグーンも事件現場に出動するのだが・・・。


ガンダムを小型化したような機甲兵装による戦闘が行われている近未来を想定した警察小説です。

外務官僚から警視庁に転出して特捜部の創設に動いた謎多き沖津特捜部長や、元は超一流の傭兵だった姿俊之、「死神」の異名で知られた元テロリストのライザ・ラードナー、指名手配犯となっていた元ロシア警察の刑事ユーリ・オズノフという3名の訳あり搭乗員の話を中心にして物語が展開していきます。、

最初の作品「機龍警察」は姿の傭兵時代の話を絡めながら、彼にまつわる因縁めいたものが主題になっていますし、続編の「機龍警察 自爆条項」ではアイルランドの普通(?)の少女だったライザがテロリストとなるまでの回想と彼女を裏切り者として処刑しようとするテロ組織の来日に絡めて進行します。

第3話の「暗黒市場」ではユーリの物語が同じように展開され、単なるアクション警察小説とは違った人間ドラマが繰り広げられていくところが魅力になっていると思います。

警察内部での軋轢、日本国内での政争、特捜部が「敵」と呼ぶ謎の集団、各国のスパイ組織や犯罪集団の暗躍があって、それらが複雑に絡み合う面白い作品です。