面白い本を探す

石ノ森章太郎 「石ノ森章太郎のマンガ家入門」の感想です。

石ノ森章太郎「石ノ森章太郎のマンガ家入門」☆☆☆

石ノ森章太郎のマンガ家入門

すごく懐かしい本です。何を隠そう小学生の頃はマンガ家になりたかった管理人のバイブルのような本で、この本で日本のマンガの歩みを知り、伝説のトキワ荘を知り、人気漫画家たちが暮らした日々に憧れを感じた事を思い出します。因みに当時は石ノ森章太郎ではなく、石森章太郎でしたけどね。

マンガの書き方というような本は当時から色々と出ていましたけど、この本はそういったテクニックを指南するような本とは一線を画します。

神様手塚、天皇石森とまで言われた当時の超人気漫画家の自伝(著者はこの当時はまだ20代の青年だったのではないかと思いますが)を含めたマンガ全般についてのエッセイは極めて貴重で、トキワ荘で暮らした日々のくだりなどは梁山泊に集う豪傑たちを彷彿させて、才能ある若者たちが一つ屋根の下で夢を叶えるために奮闘する姿に強く憧れたものです。(梁山泊も水滸伝も当時は知りませんでしたが)

マンガの書き方に関しても、小手先の技術的なものよりも登場人物の設定や作品のテーマやプロットについてなど、お絵描きではなくマンガを作っていく行程に触れていて、あまり馴染みのない漫画の描き方の内容が管理人には新鮮でした。

またストーリー漫画のサンプルとして載せてある「龍神沼」が良かったですねぇ。

結局、管理人はマンガ家にはなれませんでしたが、この本に出会えた事は本当に良かったと思っています。

多分同じような事を思った少年少女が日本全国にいることでしょう。

1960年代に出版された本なのに、こうして文庫本として復刻されているのは内容が内容だけに稀有な事のように思います。

石ノ森章太郎作品、もっと読みたかったなぁ・・・。ちなみに管理人は初期のサイボーグ009が大好きでした。