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夏目漱石「三四郎」の感想です。

夏目漱石「三四郎」☆☆☆

三四郎

今更ですが、明治の文豪夏目漱石の有名な青春小説です。

管理人はいわゆる純文学というか日本の文学がそんなに好きじゃありません。

基本はエンターティメント以外は読まない人なので、筋書きがあるのかないのか分からない、日々の出来事を殊更深刻に考えすぎているような、そういう作品が良く分からない、というか興味を引かれない。

ただ夏目漱石は好きです。

よくよく読むと、なかなか深刻なテーマだったりするのですが、どことなく文章に滑稽味があって読んでいて面白い。

それに加えて明治の雰囲気が感じられる割にはあまり古さを感じなくて、登場人物もどこか誇張されていて、一気呵成に読むということはないけど、何だか良いなぁとじわじわと思います。

夏目漱石の作品では「彼岸過迄」や「虞美人草」「こころ」も好きだけど、「三四郎」のふわふわふわっとした雰囲気が良いですね。

主人公・三四郎の腰が定まらないというか優柔不断というか、そういうところに親近感を感じて、熊本から上京する汽車の中で知り合った女性に「あなたはよっぽど度胸のないかたですね」と言われたりするところで頷いたりして、気の強い現代女性美禰子に惹かれながらも何も出来ないところに共感して、おしまいの「ストレイ・シープ」に青春時代の終わりのようなものを感じたりして、よく考えたら主人公は草食系男子のハシリのような青年ですね。

ちょっと筋違いの感想かもしれませんが、近代日本の時代の流れに戸惑う青年と明治のおおらかな空気が絶妙に感じられる作品だと思います。

管理人は中1くらいの頃に初めてこの作品を読みましたが、以来大人になってからも何度か読みなおしていますし、その度にしみじみと良いなぁと思える作品です。