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スーザン・エリザベス・フィリップス 「愛と絆につづく道」の感想です。

スーザン・エリザベス・フィリップス「愛と絆につづく道」☆☆☆

愛と絆につづく道

カリフォルニアで母方の祖母に幼児虐待を受けながら育てられた幼女スザンナ。彼女を救ってくれたのは、母親の再婚相手で裕福な若手実業家のジョエル・フォークナーだった。

スザンナに興味を示さない母親と違い、ジョエルはスザンナの事が気に入って養女として引き取る。

ジョエルは自分を頼るスザンナを実の娘よりも大切にし、6歳の時からジョエルの薫陶を受け、ジョエルの期待を裏切らない良い娘として成長したスザンナも、ジュエルをサポートする役目を果たすようになっていく。

そして有能で気配りが出来るスザンナが25歳になった時、アメリカで有数のIT系企業となったジュエルの会社の後継者とされる17歳年上の男性と婚約が決まる。

何かが間違っているような気持ちのスザンナだったが、そんな時に個人向けの小型コンピュータを売り込みに来た青年サム・ギャンブルと知り合う。

「世界を変える。」そんな大きな夢を語るサムに惹かれるものを感じたスザンナは、ジュエルにサムを紹介するが、サムが持ち込んだ機械はジュエルの気を引くことはなかった。

そして結婚式の当日、バイクに乗ったサムが式に乱入してスザンナの名前を叫び、常に自分を抑えて正しい事をしてきたスザンナは自由に羽ばたくことを夢見て、サムのバイクに飛び乗って結婚から逃げ出し、サムや彼の仲間と共に新しいコンピューターを作る会社を設立する事を決める。


まだパソコンが存在していなかった時代に、世界を変える大きな夢を描いた青年たちの軌跡と一人の女性が成長していく姿を描いた物語です。

ロマンス小説ですけど、単純なロマンス小説に留まらない作品で、どこかアップル創業者の一人スティーブ・ジョブズ氏を彷彿させるようなサムとその仲間たちが新しいものを生み出そうとする姿、経営者として悩むスザンナの姿が活き活きと描かれています。

紆余曲折の末に真実の愛をつかむスザンナが良かったです。

いろいろな意味で興味深い作品だと思います。