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加納朋子「てるてるあした」の感想です。

加納朋子「てるてるあした」☆☆☆

てるてるあした

ささらさや」の続編と言うか「ささらさや」に登場した人の良い人物たちが暮らす町に引っ越してきた女子中学生を主人公にした連作短編です。

浪費家の両親と一緒に夜逃げしたものの、一人だけ遠い親戚だというお婆さんの元に行かされた私「雨宮照代」のマンガちっくな奮闘が、一人暮らしの自分にも他人にも厳しいお婆さんとの生活の中でユーモラスに描かれています。

この主人公のように、どうしても素直に物が言えない可愛げのない女の子というのも加納朋子の登場人物の一つのパターンですが、そういう女の子がお年寄りや少し気色の変わったサヤさんと一緒に過ごすうちに、逞しくて物事を素直に捉えられる子に成長していく姿を描いています。

結構ジ~ンとするシーンも有りました。

やや少女趣味という気もするけど、気持ちが暖かくなる作品で、管理人が好きなタイプの小説です。