面白い本を探す

加納朋子「レインレイン・ボウ」の感想です。

加納朋子「レインレイン・ボウ」☆☆

レインレイン・ボウ

チーズという愛称で誰からも好かれていた25歳の若い女性が心臓病で亡くなった。

お通夜には彼女が高校時代に所属していたソフトボール・チームのメンバー達が集まったが、何故か彼女と一番親しかった女性は出席しなかった。


そういう謎めいた場面から始まる加納朋子らしい連作短編集です。

ソフトボール部のメンバーたちのそれぞれの物語が短編として綴られ、それが最後に大きな一つの物語に収斂する構成は見事です。

大事な役どころで描かれるキャプテンだった片桐陶子さん、どこかで聞いた覚えの有る名前だと思ったら、そうだ「月曜日の水玉模様」の主人公の名前だと思い出しました。

全ての物語に少しずつ登場するチーズこと牧知寿子さん。彼女を通して乙女たちのそれぞれ生き方を描いています。

加納朋子作品に登場する女性は、ごく普通の女性であってもどこか輝いているようで、宮崎駿氏のアニメに登場する女性を連想しますね。