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ティム・パワーズ「奇人宮の宴」の感想です。

ティム・パワーズ「奇人宮の宴」☆☆☆

奇人宮の宴

核戦争の影響で興廃した未来のアメリカが舞台。

暴力が日常化し酒が通貨の役割を果たしている無政府状態の荒れ果てた世界では、若者を洗脳して連れ去る邪教の教団ジェイバードが勢力を伸ばしている。

ミュージシャンのリーヴァスは昔の恋人がジェイバードの大本山・奇人宮に連れ去られた事を知り、彼女を救う為に奇人宮に向かう。


1985年のP・K・ディック記念賞を受賞したSF小説です。

チャリンコに乗った暴走族風の強盗軍団をはじめ、相当に怪しげな人物たちが登場する悪夢風の世界像がディックっぽい感じで、物語の展開も早いし、どことなくユーモラスだし、奇想の世界にすんなり入り込めばとても楽しめる作品です。

パワーズ作品らしく、奇想天外な割には構成に無理がなく、主人公もスーパーマンどころか軟弱で、そこら辺に居そうな普通の人っぽくて好感が持てます。

そんな普通の人が危機に陥ると誰かが助けてくれたり偶然何とかなったりする展開は、読んでいて安心感があります。

ティム・パワーズの作品は翻訳が少ないし、翻訳されても直ぐに絶版になるし、日本では人気がないのかも知れませんが管理人は好きです。

もっと作品を読みたい作家ですね。