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冲方丁 「天地明察」の感想です。

冲方丁「天地明察」☆☆

天地明察

第7回(2010年)本屋大賞、第31回(2010年)吉川英治文学新人賞を受賞した歴史小説です。

徳川中期、碁打ちの名門に生まれながら、碁よりも和算の世界に熱中する青年渋川春海は、天才数学者関孝和と出会い、時の老中の勧めで天文学の世界に入り、日本独自の暦を作ることを任されることになる。

以来、大和暦完成まで20年にも及ぶ渋川春海の歩みを描いた一代記です。

飄々とした性格の春海は、新しい暦の制定という利害関係が政治的にも文化的にも複雑にからむ問題を、けっして無理をせずに多くの人々の協力を仰ぎながら地道に努力していきます。

こうして歴史は作られていくということを、あまり派手な事件が起こらない中で描いています。

時代小説というよりも歴史小説・伝記小説と言った雰囲気が強くて、全体的に淡々とした印象を受けました。

泣いたり笑ったり興奮したりするような作品では有りません。

暦や数学、囲碁などという小説にしづらい世界を舞台にして良くここまで書けたものだと思いますが、個人的には少々マニアックな世界のような気もします。

もちろんそういう事に対する知識がなくても楽しめる作品ですが、管理人としては地味な印象の小説で今一つ好みではないかな。