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ウォルター・M・ミラー・Jr 「黙示録3174年」の感想です。

ウォルター・M・ミラー・Jr「黙示録3174年」☆

黙示録3174年

核戦争が起こった結果地球は荒廃し、先端科学技術や知識が忘れ去られていく中で、生き延びた人々は新しい文明を築き上げていく。

そういう姿をキリスト教徒的な視点から描いたSF叙事詩で、1961年のヒューゴー賞を受賞した作品です。

物語の根底にキリスト教的なテーマや思想が広がっていて、そういう知識が一般常識となっていない管理人には読んでいて辛いものがありました。

でも多分、そうした知識があったとしても、生真面目なハードSFで、エンターティメントとは言えない小説ですから、管理人向きではないでしょう。

ここに描かれた核戦争後の世界像も、そこから復興していく姿もあまりに欧米のキリスト教的な価値観に偏っているようで、異教徒の管理人にはこんな風になるとも思えませんし、今いち小説の世界観がピンと来なくて没頭できませんでした。

ジェームズ・ブリッシュの「悪魔の星」もそうですけど、宗教色が強すぎる作品は、SF小説のひとつのあり方としては理解できるものの、面白い小説とはなかなか思えません。

人間について考察したい人には面白い小説かもしれませんが、管理人には期待はずれの作品でした。